あらすじ
ーー社内で自分を見る目が変わったと思う。陰口も耳に入ってきた。
「今時土下座なんかあり得ない」「典型的な社畜」「出世のためなら何でもやるのかよ」
そう、会社のためなら何でもやる。
大手メーカー・タチ自動車は自動運転実験中に衝突事故を起こす。警察は発表しなかったが、数日後、この事故の記事が東日新聞に掲載される。情報はどこから漏れたのか? 総務課係長の伊佐美を中心に「犯人探し」のチームが発足するが……。新聞記者、内部告発者、そして「社畜」。それぞれの正義が交錯する、圧巻の経済小説。
ISBN: 9784122071681ASIN: 4122071682
作品考察・見どころ
堂場瞬一が描く本作の本質は、組織という怪物に魂を捧げた男の矜持と悲哀の相克にあります。単なる隠蔽工作の物語ではなく、出世や保身を超えた地点で会社のために己を滅ぼすことの是非を、冷徹かつ情熱的な筆致で問いかけます。社畜と蔑まれても揺るがない主人公の歪んだ忠誠心は、組織の中で生きる我々の痛点を鋭く突き刺すでしょう。 情報漏洩を巡るミステリーを軸に、記者や告発者の視点が交錯する構成は圧巻です。それぞれの正義が激突し、剥き出しの人間性が露呈する瞬間、読者は「自分ならどう動くか」と自問せずにはいられません。沈黙する警察、攻めるメディア、守る企業。三すくみの緊張感の果てにある、衝撃の報酬をぜひ見届けてください。




