あらすじ
ISBN: 9784065165812ASIN: 4065165814
それでも支援は必要か?
最も傲慢な犯罪被害者が村野を苛む
娘を殺害された悪名高き男。
部下への疑念が招く、支援課分断の危機!
<警視庁犯罪被害者支援課ーー犯罪被害者の家族などの心の支援を行うセクション>
ブラック企業として知られるハウスメーカー社長の娘が殺害された、二年前の事件。
意外な犯人の自供で捜査が急展開するなか、怒りを爆発させる被害者の父・大崎と村野は再度向き合う。
執拗に取材を続ける記者と部下の不審な接触。悪名高き男は守られるべきか?
疑念が支援課の根幹を揺さぶる。
<文庫書下ろし>
第一部 自供
第二部 停滞
第三部 記者
第四部 黒幕
堂場瞬一氏が描く本作の真髄は、警察小説の枠を超え「救済の適格性」を問う重厚な倫理性です。支援対象が社会的な悪を孕む時、その痛みはどこまで尊重されるべきか。善悪の境界が溶解し、支援の理念が揺らぐ描写には、人間存在の深淵を覗き込むような凄みが宿っています。 物語の白眉は、不信の連鎖が組織の絆を内側から侵食していく冷徹な心理描写にあります。正義の危うさを暴き出す筆致は、読者の道徳観を激しく揺さぶります。職務と良心の狭間で懊悩する村野の姿は、救済の真実を私たちに突きつけ、一気に読了させる力強い引力を放っています。