あらすじ
ISBN: 9784167917791ASIN: 4167917793
東日新聞四日市支局長の藤岡が工場の夜景を撮影中に水路に転落し溺死した。警察は事故と判断したが、藤岡とともに新人時代を三重県で過ごした同期三人は納得がいかない。編集委員の松浦、初の女性役員になりそうな高本、なぜか出世ルートをはずれた本郷は真相究明に乗り出すが、それぞれに家族の問題でも悩みを抱えていた。
堂場瞬一が描くのは、組織で磨耗しながらも矜持を燃やす大人たちの魂の再起です。戦友の死が、冷徹な報道の世界に生きる三人の内面を激しく揺さぶる様子は圧巻です。真相追及の旅は、彼らが封じた「若き日の情熱」との対話であり、過酷な現実を生き抜くための切実な儀式に他なりません。 重圧を背負い、あがきながらも正義を求める彼らの姿は、読み手の胸に鋭く突き刺さります。これは単なる謎解きではなく、失われた季節を抱え明日へ向かうための、痛切で気高い帰還の物語です。著者の硬質な筆致が、読者の心に消えない火を灯すことでしょう。