あらすじ
閉塞的な故郷で起きた怪事件。
血脈、正義、そして権力闘争が絡み合う。
小説だからこそ描ききれた、圧倒的人間ドラマ
堂場瞬一、作家としての原点〈汐灘サーガ〉第2弾
地方都市・汐灘の海岸で発見された女性の変死体。県警は散弾銃による自殺と結論づけたが、捜査一課の石神謙は他殺の線で独自捜査を続ける。一方、地元政界は、引退する大物代議士・剱持隆太郎の後継指名を巡り混迷を深めていた。石神と剱持、交わるはずのなかった二人の運命が今、交錯するーー。
〈解説〉渡辺祐真
ISBN: 9784122076655ASIN: 412207665X
作品考察・見どころ
堂場瞬一が描く「汐灘サーガ」の真髄は、地方都市という閉鎖的な箱庭に渦巻く、血脈と権力の生々しい軋轢にあります。本作は単なるミステリの枠を越え、抗いがたい血の宿命と、歪んだ正義が衝突する瞬間を鮮烈に切り出しています。静謐な海辺に漂う死の気配は、読者の肺腑を突くような緊張感に満ちており、純文学的な重厚ささえ湛えています。 物語の核心は、孤独な捜査を貫く石神と、政界の怪物たる剱持という、対極の情熱を持つ二人の邂逅にあります。組織の論理に抗い真実を希求する個人の意志が、巨大な利権や血縁の壁に挑む姿は、人間の尊厳を問う重厚な叙事詩のようです。文字から立ち上る執念と、都会では味わえない土着的な闇の濃密さが、読み手の魂を強く揺さぶる傑作です。