あらすじ
「あなたは今日から議員です」
202×年、日本の政治システムは一変していた。
憲法は改正され、20歳以上の国民から合計1000人の「国民議員」がランダムに選出され、総理大臣は直接選挙で選ばれる。国会は解散し、「国民議会」(二院制)を新たに結成。議会は完全オンラインで行われ、議員の任期は4年、年間報酬500万円、基本再選はなし。専用のデバイスを支給され、議員としての活動は全てオープンに。さらに、国民は常にそれらを確認、監視できるようになっていた。
突然議員に選ばれた大学生の混乱、直接選挙で選ばれた新首相の苦悩、国民議員の不正を監視する機関「国民議員調査委員会」の危うさ、一気に権限が大きくなった官僚、現首相と旧政治体制に固執する現都知事らの政権争い……
有り得るかもしれない「未来」を描く実験的政治小説。堂場瞬一の新境地!
【著者略歴】
堂場瞬一 どうば・しゅんいち
1963年生まれ。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年、野球を題材とした「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。スポーツ小説のほか、警察小説を多く手がける。「ラストライン」シリーズ、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズなど、次々と人気シリーズを送り出している。ほかにメディア三部作『警察回りの夏』『蛮政の秋』『社長室の冬』、『弾丸メシ』『幻の旗の下に』「ボーダーズ」シリーズなど著書多数。
作品考察・見どころ
堂場瞬一が警察小説で培った冷徹な観察眼を、政治という巨大な劇場に投じた野心作です。くじ引きで選ばれた国民議員という設定は、単なる空想に留まりません。権力という劇薬を突然手渡された「普通の人々」が、理想と現実、そして人間の醜悪な欲望に翻弄される姿を、著者は圧倒的なリアリズムで浮き彫りにしています。 本作の神髄は、システムの変化がもたらす「個」の揺らぎにあります。デジタル化され透明性を増した議会でなお蠢く官僚の思惑や、旧態依然とした権力争いは、現代社会への痛烈な風刺です。読者に「民主主義の責任を負う覚悟はあるか」という究極の問いを突きつける、戦慄の思考実験。今この瞬間を生きる私たちが対峙すべき、鏡のような一冊です。




