堂場瞬一の真骨頂は、情報の荒波に身を投じる人間の業を冷徹かつ情熱的に描く筆致にあります。本作は五つの時代を跨ぎ、変容するメディアの形を浮き彫りにしながら、真実を追う記者の根源的な飢餓感を鮮烈に写し出しています。情報の正誤が揺らぐ現代、正義と功名心の狭間で葛藤する人々の姿は、我々の倫理観を激しく揺さぶるでしょう。
文字から立ち上がるのは、特ダネという魔物に魅入られた者の孤独な執念です。媒体が移ろいでも、最後に問われるのは個人の直感と誠実さであるという普遍的なテーマが、短編ならではの鋭いキレ味で提示されています。情報の裏側に潜む「人の心」を抉り出す本作は、全ての情報消費者に捧げられた一級の人間ドラマです。