あらすじ
ISBN: 9784758443340ASIN: 4758443343
元警視庁公安部外事三課の警察官・安宅真。彼は十年前、東南アジアへPKO派遣された際、過激派による自爆テロで、死の恐怖を味わった。
その後は警察官を辞め、ひとり喫茶店を営んでいた。しかしある日、店のある東京・神保町で爆弾テロが発生。
それを機に、安宅の周りで異様な出来事が起こり始める。
警察の捜査を攪乱する謎の女の出現、殺人、二度目の爆弾テロと犯行声明……。
もうこの国には、安全な場所など残されていないのか⁉(解説・藤田香織)
堂場瞬一が描くのは、平穏という薄氷を踏み抜いた先にある剥き出しの人間性です。戦地で死の深淵を覗いた主人公・安宅の焦燥は、単なるトラウマの描写に留まりません。神保町という日常の象徴がテロで瓦解していく様は、読者の足元をも揺さぶるような圧倒的なリアリティを放っています。 本作の神髄は、タイトルの如く絶望の淵で何を唄うかという、倫理と生存を懸けた問いにあります。謎の女が暴き出す社会の脆弱さは、安全神話に浸る我々に痛烈な一撃を見舞います。冷徹な筆致で綴られる孤独な闘争は、現代を生きる者の魂を激しく揺さぶるハードボイルドの傑作です。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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