あらすじ
ISBN: 9784309419558ASIN: 4309419550
一九八九年、平成最初の大晦日の夜。出版社勤務の友人・本橋と呑んでいた作家志望の俺(社会人三年目・新聞記者)は、売り言葉に買い言葉でとんでもない約束をしてしまう。“約束”の終わりは、「次の元号」に変わるまで!?100人の物語が「平成」という時代を貫く!一気読みできて何処からでも読める。新たな小説の手法に挑む問題作、待望の文庫化。
堂場瞬一が放つ本作は、平成の三十年を百人の肉声で編み上げた、極めて野心的な文学的実験です。単なる短編集に留まらず、一人の記者が綴る個々の物語が重なり合い、巨大な時代のうねりを可視化させる手法は圧巻。読者はページをめくるごとに、当時の空気感や名もなき人々の焦燥を鮮烈に追体験することになります。 本質的な魅力は、個人の断片的な人生が普遍的な時代の記録へと昇華される瞬間にあります。約束を果たすという執念が、書くことへの情熱へと変貌していく過程には、言葉で世界を刻もうとする作家の凄絶な矜持が宿っています。どこから読んでも心に刺さる、豊穣な物語の礫に打たれる快楽をぜひ存分に味わってください。