あらすじ
ISBN: 9784087457353ASIN: 4087457354
情報こそが金を生む時代が、すぐそこに迫る1983年東京。貧乏に苦しむ大学生の波田は、経済評論家北川のシンクタンクで働き始めるが……。悪に染まっていく青年が見た世界とは!(解説/平松洋子)
本作の真骨頂は、情報が貨幣価値へと変容し始めた一九八三年の東京を舞台に、一人の青年が「悪」の漆黒に塗り潰されていく凄絶なプロセスにあります。堂場瞬一は、単なる犯罪小説の枠を超え、バブル前夜の狂騒と時代の転換点を、冷徹かつ官能的な筆致で描き出しました。 持たざる者が知略を武器に這い上がる代償として、人間性を喪失していく姿は孤独で痛切です。正義と悪の境界が曖昧な「グレイ」の領域で彼が見た景色は、絶望か、あるいは究極の自由か。情報社会の原罪をえぐる本作は、現代を生きる我々の魂をも激しく揺さぶる一冊です。