六つ花えいこ/秋鹿ユギリ
あのヴィンセント・タンザインが私なんかを好きになるはずがない。私たちは“友達”--そう思い込むオリアナだったが、彼を思う気持ちは強くなるばかり。そんな中、ヤナとアズラクの『試練』に問題が発生し、二人の関係も急激に変化する。舞踏会前に、すれ違ってばかりのヴィンセントとオリアナは?そしてついに、竜木と死に戻りの謎の核心に迫るーー大団円で迎える極上のハッピーエンド。巻末に後日談の書き下ろしもたくさん収録!
本作の白眉は、繰り返される時間の中で愛する痛みさえも肯定し、運命を切り拓こうとする主人公の切実な祈りにあります。著者・六つ花えいこが描く心理描写はどこまでも繊細で情熱的です。かつての恋人が「他人」となった絶望を、一途な憧憬へと昇華させていくオリアナの魂の強さは、読者の胸を激しく揺さぶります。 完結巻となる本作では、竜木に秘められた謎と死に戻りの因果が壮大なスケールで紐解かれます。記憶の断絶という残酷な壁を、不変の愛情がいかにして乗り越えていくのか。積み重ねられた日々の断片が、一つの幸福な結末へと収束していく筆致はまさに圧巻。文字の向こう側に温度を感じる、至高の読書体験を約束してくれます。