あらすじ
県警エリートの密命は警察署への潜入捜査!
神奈川県警査一課生え抜きエリートの萩原哲郎に突然の異動命令が下された。赴任先は重大事件が希な湘南・鎌倉南署。しかも署長職。実はこの異例人事には密命があった。それは女性前任者の不審死の謎を署長として潜入捜査せよというもの。協力者もなく孤立無援の中、萩原は秘密裏に捜査を始めるが署員達の口は固く容易に進まない。そんな時、管内で殺人事件が発生。それは過去の未解決殺人事件と繋がっていた……。正義を貫くべき警察官たちが頑なに隠蔽していた真実とは一体何なのか。組織トップの孤独と葛藤、渦巻く人間模様を描く堂場瞬一警察小説の頂点。
ISBN: 9784094067019ASIN: 4094067019
作品考察・見どころ
堂場瞬一が描くのは、組織の頂点に立ちながら孤立を強いられる人間の精神性です。署長という権力を持ちつつ、潜入捜査官として沈黙の迷宮を彷徨う主人公の葛藤こそが本作の白眉。正義の砦である警察署が保身という闇に呑まれていく皮肉の中で、一組織人としての限界に抗い真実を渇望する焦燥が、読者の魂を鋭く穿ちます。 緻密な機構描写と、個人の矜持が組織の論理と激突する緊迫感は、まさに警察小説の極致。未解決事件が現代の闇と繋がる構成は、真の正義を厳しく問いかけます。四面楚歌の中で己の信念だけを灯火に突き進む萩原の姿は、冷徹なリアリズムを超え、読む者の胸を熱く焦がす一級の人間ドラマとなっています。




