あらすじ
日本新報記者・南康祐に、大手IT企業が不正献金をしているという政治家リストがメールで届く。真実なら政界を揺るがす大事件だが、送信者に心当たりがない。甲府支局時代に誤報を飛ばし、会社を窮地に陥れた過去がある身として、慎重にならざるを得ない。だが、本社に戻った今、特ダネを物にしたい思いは募り…。一通のメールから政治の闇を炙り出して行く記者が掴んだ真相とは!傑作事件小説。
ISBN: 9784087458176ASIN: 4087458172
作品考察・見どころ
堂場瞬一氏が描く本作の真髄は、情報の奔流に晒される現代において、記者の矜持が試されるヒリヒリとした緊張感にあります。過去の過ちに怯えながらも特ダネの誘惑に抗えない主人公の心理描写は、単なる組織論を超え、個人の再生を賭けた孤独な戦いとして昇華されています。一通のメールが導く政治の闇は、読む者の倫理観を激しく揺さぶるでしょう。 言葉の重みを知り尽くした著者の筆致は、事実を積み重ねる執念と、権力構造の歪みを冷徹に抉り出す鋭さを併せ持っています。情報の真偽を巡る心理戦は、さながら緻密に編まれた極上のミステリーです。真実に辿り着いた瞬間のカタルシスと、その代償として突きつけられる現実の苦味。読後、あなたはニュースの裏側にある報道の覚悟を思わずにはいられないはずです。




