あらすじ
「上級国民」の闇を暴け!
愛車はポルシェ・カイエン、自宅は六本木の高級マンション。
セレブ出身、セレブ担当刑事が追うのは、セレブリティが吐いた嘘。
主人公・二階堂悠真の肩書は、「警視庁特別対策捜査官」。
警視総監直轄の部署……といっても、実際には「部署」ではなく「窓口」で、担当は彼一人だけ。
ある日、二階堂のもとにある女性が相談に訪れる。窃盗事件の被害届を出したいのだが、所轄の態度が気に食わないので何とかして欲しいとのこと。彼女は被害者の後妻で、元ホステスの女だった。
被害者は港区内に住む資産家・梅島。ラーメン屋の親父から、一代で巨大飲食チェーンを育て上げた“成金”で、会ってみると極めて高慢な人物。
しかも、非常に立派なウォッチワインダーがあるのに、時計が置いていない=盗まれた可能性があるのに届けて出ていないなど、怪しい面がある……。
捜査を進める二階堂の元に、今度は渋谷中央署から電話が。
なんと、総務省審議官の息子を強盗の容疑でしょっ引いたというのだ。
複雑に絡み合う二つの事件、秘められた名門一家の過去とは。
待望の新・警察シリーズ始動!
作品考察・見どころ
堂場瞬一が放つ本作の真髄は、特権階級という「聖域」に切り込む痛快さと、その裏に潜む人間の業を描く文学的深みにあります。主人公・二階堂悠真は、自らもセレブでありながら同族の嘘を暴く鏡合わせの孤独な戦いに身を投じます。この内部者視点が、現代社会の歪んだ選民意識を浮き彫りにし、単なる事件解決を超えた鋭い文明批評へと物語を昇華させています。 複雑に交錯する事件を通じ、読者は名門の鎧が剥がれ落ちる瞬間の虚無感と対峙します。洗練された都会の情景と泥臭い刑事の執念が織りなすコントラストこそが本作の白眉です。上級国民の闇を優雅かつ冷徹に切り裂く新たな警察小説の誕生に、ページを捲る手が止まらないはずです。