あらすじ
大義か、道義か。
刑事と公安、親友同士のふたりの警官。使命の違いは、守るべきものを曇らせる。
一九五二年、サンフランシスコ講和条約発効直前。東京都内の駐在所が爆破される。死者は二名。ひとりは駐在巡査、もうひとりの身元は不明。刑事の高峰は、共産党過激派の関与を睨むが、秘密主義の公安から情報が流れず、捜査は難航。高峰は、親友で公安に所属する海老沢に協力を仰ぎ、共同戦線を張って真相に近づこうとする。だが、あくまで個人への犯罪として捜査する「捜査一課」に対し、事件を利用し過激派の瓦解を目論む「公安一課」という相反する立場が、ふたりの関係に影を落とす。
時代の乱れが、警察という「組織」の矛盾を生み出していく。
戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第二幕!
第一部 爆破
第二部 内部の敵
ISBN: 9784065155691ASIN: 406515569X
映画・ドラマ版との違い・考察
堂場瞬一が放つ本作は、戦後日本の正義を問う重厚な叙事詩です。刑事が追う個の真実と、公安が優先する国家の大義。その相容れない信念が親友の絆をも引き裂く過程は、あまりに切なく残酷です。組織の歯車として生きる者の葛藤が、激動の時代背景と共鳴し、読者は人間の尊厳という深淵を覗き込むことになります。 映像化では混沌とした昭和の空気が五感に訴えますが、文字でしか到達できない心理的深度がここにはあります。行間に滲む痛切な孤独や組織の矛盾を抉る筆致は、映像を凌駕する没入感をもたらします。両メディアを味わうことで、警察の光と闇はより立体的に浮かび上がり、物語は一生残る重みを持って胸に迫るはずです。




