えむふじん氏が描く本作の真髄は、誰もが直面する親への変貌という劇的な転換期を、ロールプレイングゲームのような成長の物語として捉え直した点にあります。完璧な親など最初から存在しないという真理を、軽妙なユーモアと鋭い観察眼で肯定し、不器用で格好悪い日常を、かけがえのない冒険へと昇華させる筆致が見事です。
単なる育児記録を超え、夫婦が個としてのアイデンティティを保ちながら、手探りで家族というチームを編み上げていく葛藤と歓喜が凝縮されています。ページをめくるたびに、読者は自身の未熟さを愛おしく感じ、人生という難解なクエストに前向きに挑む勇気をもらえるはずです。現代を生きるすべての人に贈る、優しき魂の成長譚といえるでしょう。