あらすじ
犯罪者の子となった少年。
心に傷を抱えたまま、彼は突如姿を消す。
やがて事件は、衝撃の展開を迎えるーー
著者史上売上NO.1シリーズ第9弾。
西八王子署管内で言葉を喋らない少年が保護された。だがある日、彼は失踪。調査を進めると少年は日系ブラジル人で、父親がひき逃げ事件を起こしたことが判明する。そしてその被害者は、少年の親友だったーー。日本人と日系人の埋まらない溝、長閑な町に潜む闇。少年の行方を追う了を待ち受ける、あまりに悲しい事実とは……。
ISBN: 9784122069343ASIN: 4122069343
作品考察・見どころ
本作の真骨頂は、失踪事件の追跡を通じて社会の裂け目に落ちた人々の孤独を鮮烈に描き出す筆致にあります。日系人と日本人の間に横たわる深い断絶と、加害者の子という重すぎる十字架。堂場瞬一は、緻密な捜査プロセスの背後で、言葉を奪われた少年の沈黙が発する悲鳴を、読者の魂へと直接響かせてきます。 物語が進むにつれ、長閑な町に隠蔽された人間の業が浮かび上がります。刑事・了が辿り着く衝撃の結末は、正義のあり方を厳しく問い直し、読者の倫理観を激しく揺さぶるでしょう。警察小説の枠を超え、現代社会の歪みをえぐり出す本作は、読了後も胸に消えない熱い痛みと深い余韻を刻みつける傑作です。




