朝井リョウ
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰するーー。 あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側ーー世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。 「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」
朝井リョウが十五周年に放つ本作は、閉塞感漂う現代を舞台に、熱狂という名の毒を差し出す野心作です。かつて多様性の欺瞞を抉った著者の眼差しは、本作で「救済」という巨大な虚構へと向けられています。沈みゆく現実を背景に、界隈へとのめり込む人々の歪な熱情は、読者の倫理観を揺さぶる凄絶な引力を放っています。 特筆すべきは、集団の狂気と個の孤独を克明に描く筆致です。物語の根底には、集団という怪物に自己を捧げる危うい快楽が響いています。今、この不透明な時代を生き抜くための最も鋭利な刃となる、現代文学の到達点です。
朝井 リョウ は、日本の小説家、ラジオパーソナリティ。2013年、『何者』で第148回直木三十五賞受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少(23歳)である。2026年には『イン・ザ・メガチャーチ』で第23回本屋大賞を受賞した。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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