朝井リョウ
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する。『正欲』『生殖記』......さらなる衝撃が時代を穿つ。作家生活15周年記念、今秋最大の注目作。
朝井リョウが十五周年に放つ本作は、閉塞感漂う現代を舞台に、熱狂という名の毒を差し出す野心作です。かつて多様性の欺瞞を抉った著者の眼差しは、本作で「救済」という巨大な虚構へと向けられています。沈みゆく現実を背景に、界隈へとのめり込む人々の歪な熱情は、読者の倫理観を揺さぶる凄絶な引力を放っています。 特筆すべきは、集団の狂気と個の孤独を克明に描く筆致です。物語の根底には、集団という怪物に自己を捧げる危うい快楽が響いています。今、この不透明な時代を生き抜くための最も鋭利な刃となる、現代文学の到達点です。
朝井 リョウ は、日本の小説家、ラジオパーソナリティ。2013年、『何者』で第148回直木三十五賞受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少者。