本作は、二人の表現者が「言葉」という切っ先鋭い道具を使い、自らの内面を解体していくスリリングな精神の対話録です。論理的な思考で物事の本質を鮮やかに射抜く桜林直子と、感情の微細な揺らぎを詩的に掬い取る土門蘭。資質の異なる二人が、安易な共感に逃げることなく「そもそも」を問い直す過程は、さながら研ぎ澄まされた文学的な格闘技のようです。
思考が形を成すまでの切実なプロセスが綴られた本書は、読者の心に澱む正体不明の不安を光へと変えてくれます。答えを急がず、自分だけの言葉を掴み取ろうとする凄絶なまでの誠実さ。その真摯な熱量こそが、迷える現代人の行く先を照らす「お守り」として、私たちの魂を激しく揺さぶるのです。