あらすじ
最高。何度も何度も読んだ。この小説を読み直すためにだけでも、十年先まできっと生きていたい。--斎藤真理子
『続きと始まり』『百年と一日』が話題の柴崎友香による全く新しい「探偵小説」
「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。
急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
ISBN: 9784065397107ASIN: 4065397103
作品考察・見どころ
柴崎友香が描くのは、事件を解くのではなく、世界を凝視し続ける存在としての探偵の姿です。本作の核心は、帰るべき場所を失ったことで、あらゆる風景が剥き出しの真実として立ち上がる鋭敏な感覚にあります。光や雨の微細な変化を捉える精緻な文体は、私たちが当たり前に享受している日常の揺らぎを、鮮烈かつ美しく暴き出します。 この物語は、どこへでも繋がれる世界の広大さを祝福しています。未知の街と記憶が地続きに交差する瞬間、読者はただ生きていることの圧倒的な手触りを再発見するでしょう。十年先も読み続けたいと思わせる、静かな衝撃に満ちた現代の神話。言葉の隙間に漂う自由の香りに、魂が震える究極の一冊です。