東野圭吾
あいつを殺したい。私の人生を狂わせる、悪魔のようなあの男をーー。田島和幸は小学校の同級生、倉持修と仲良くなる。その時から、田島の人生に不穏な影が射し始めた。祖母の死をきっかけに両親は離婚、ある噂で地元を追われた彼は転校先でもいじめられ、裕福だった暮らしも崩れていく。それでも進学を機に新しい生活を手に入れた頃、疎遠になっていた倉持が突然、田島の前に現れて……。心に潜む殺人願望を描く問題作。
本作は友情の名を借りた「底知れぬ悪意」と、一人の男の人生が音を立てて崩壊していく過程を冷徹に描いた傑作です。東野圭吾が挑んだのは、善悪の境界線である「門」を越えられない人間の弱さと情熱の葛藤。追い詰められるほどに増幅する殺意が、緻密な心理描写によって読者の内面を侵食し、逃げ場のない焦燥感を突きつけます。 映像版では倉持の怪演が視覚的な恐怖を煽りますが、活字の醍醐味は田島の独白が織りなす「思考の地獄」にあります。一歩踏み出せば人殺しになるという瀬戸際で、読者は彼と共に絶望の淵を歩む没入感を味わえるでしょう。両メディアが共鳴することで、逃れられない人間の業がより鮮烈に浮き彫りになります。
東野 圭吾 は、日本の小説家。大阪府大阪市生野区生まれ(本籍は東区玉造・現中央区)。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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