柏澄子
ただ、山が好き。その静かな情熱が、彼女を世界の山へと導いた。アルパインクライマー山野井妙子の半生。国内外の難壁を次々に登攀していった山野井妙子。夫の泰史と出会い、ふたりで過酷な山に挑む。彼女の人生は、日常と登山を等しく大切にする姿に貫かれている。
本書が描くのは、記録を追う登山家ではなく、山を愛するという純粋な祈りに似た女性の魂です。著者の柏澄子は、絶壁に挑みつつ日常を慈しむ山野井妙子の呼吸を、温かな筆致で掬い上げました。そこには死の極限でも揺るがない、凪のように澄んだ強靭な精神性が宿っています。 非日常を日常として捉える彼女の姿は、読者に「真に自由に生きるとは何か」を問いかけます。パートナーとの絆を超えた孤高の魂が放つ静かな情熱。削ぎ落とされた言葉の美しさが、私たちの内なる山をも突き動かす至高のドキュメントです。
柏 澄子 は、日本のライター、ジャーナリスト、登山ガイド。千葉県出身。