『都市伝説解体センター』(墓場文庫)/集英社ゲームズ/今村昌弘/田中創/月並きら/梨
呪いの箱、事故物件、異界──その正体と、その向こう側にある真実を追う『都市伝説解体センター』。呪物や怪異の調査・回収を担うセンター長・廻屋渉、調査員バイトの福来あざみ、先輩バイトのジャスミンのもとには、不気味な赤い雨や社会を翻弄させる臨時放送など、知られざる事件が舞い込んでいた。一方、ガイドは怪しい警官から事情聴取を受けることになり、博物館職員の松田は壊れた土器を修理するために小学校へ向かうが…。ほかにも、あざみと美桜の大学時代エピソードや、クローゼットで巻き起こった司書と富入の怪事件など、原作ファン必読の都市伝説6篇を収録。カバーイラストは原作・墓場文庫描き下ろし。巻末とじ込みステッカー付。ゲームの余韻をそのままに、都市伝説の〈痕〉を辿る一冊。
今村昌弘の冷徹な論理と、梨が放つ禍々しい感性が火花を散らす本作は、都市伝説という現代の「病」に解体という名の救済を施す極上のミステリーです。虚構が現実を侵食する境界線で、人間が抱く孤独や執着を浮き彫りにする筆致は、単なる恐怖を超えた文学的芳香を放っています。 原作ゲームで描かれた世界を静謐な言葉で補完する本作は、映像では捉えきれない心の機微や、怪異の背景に潜む重層的な歴史を深く掘り下げています。テキストならではの沈黙が、ゲーム版の鮮烈な体験に新たな解釈の光を当て、読者をより深い「痕」の深淵へと誘う、まさにメディアを横断するシナジーの結晶と言えるでしょう。