あらすじ
ISBN: 9784408557144ASIN: 4408557145
低迷に喘ぐかつての名門球団〈スターズ〉は、副都心・新宿の新球場で開幕を迎えた。
そびえ立つ高層ビルと一体化した異形のスタジアムは、
観客増を目論むメジャーリーグ好きオーナーのアイデアを満載。
だが、狭くて変則的な構造は選手に不評で、監督・樋口は采配に苦慮、フロントとの軋轢も生じる。
しかしシーズン後半、投打が徐々に噛み合って、チームは優勝争いに絡んでいくーー。
堂場瞬一が描く本作の真髄は、野球小説の枠を超えた組織と個人の対峙にあります。新宿の超高層ビルと一体化したスタジアムという、都市開発の狂気とロマンが混ざり合う設定が秀逸です。物理的な壁がそのまま選手たちの心理的障壁となり、それを乗り越えようとする泥臭い葛藤が、緻密な筆致で文学的な深みへと昇華されています。 現場の矜持とフロントの合理性が激突する熱量は、読者の魂を激しく揺さぶります。既成概念という名の壁を壊し、異形の聖地を真のホームへと変えていく再生の物語は、閉塞感のある現代社会を生きる我々への力強いエールです。理屈を超えた勝利への執念が、この一冊には脈々と流れています。