あらすじ
新聞社の支局長として20年ぶりに地元に戻ってきた記者の福良孝嗣は、着任早々、殺人事件を取材することになる。被害者は前市長の息子・野本で後頭部を2発、銃で撃たれるという残酷な手口で殺されていた。一方、高校の陸上部で福良とリレーのメンバーを組んでいた県警捜査一課の芹沢拓も同じ事件を追っていた。捜査が難航するなか、今度は市職員OBの諸岡が同じ手口で殺される。やがて福良と芹沢の同級生だった小関早紀の父親が、20年前に市長の特命で地元大学の移転引き止め役を務め、その後自殺していたことがわかる。早紀は地元を逃げるように去り、行方不明になっていた……。
ISBN: 9784041067413ASIN: 4041067413
作品考察・見どころ
堂場瞬一が描くのは、単なる事件の解明ではなく、二十年の歳月が堆積させた人間の業そのものです。新聞記者と刑事、かつてバトンを繋いだ二人がそれぞれの正義を抱えて再会した時、地方都市の平穏な仮面は剥がれ落ちます。緻密なリアリズムと静かに燃えるような叙情性が同居する筆致は、読む者の魂を激しく揺さぶります。 本作の白眉は、過去の記憶を「十字架」として背負い続ける者たちの孤独な叫びです。失踪した少女の影が、読者をノスタルジーと恐怖の狭間へと誘い、埋もれた真実を鋭く告発します。沈黙を経て動き出した運命の歯車に、あなたは抗うことができないでしょう。これこそ、大人が読むべき真の社会派人間ドラマです。




