あらすじ
「違法捜査は本当にあったのか?」水沼加穂留(みずぬまかおる)は神奈川県警の巡査部長。捜査一課への配属希望は通らぬまま三十歳までキャリアを重ね、春の異動で「訟務課」へ。警察が訴えられた民事裁判の対応をする部署だ。ほどなくして外部からも新人の新崎大也(しんざきだいや)がやって来る。淡々として同僚と関わらない彼だが、実は弁護士の資格を持つらしい。なぜ弁護士が警察職員に? そんな折、強盗犯グループへの違法捜査を問う裁判が発生し、加穂留と新崎が担当することに。威圧的な取り調べはなかったという捜査一課の言葉を信じ、彼らを守ろうと公判にのぞむ加穂留。しかし法廷で、関与した警察官の「嘘」が暴露されーー。
第一部 敗訴
第二部 R
ISBN: 9784041142080ASIN: 4041142083
作品考察・見どころ
堂場瞬一氏が描く本作の真骨頂は、組織の盾となる訟務課という光の当たらない部署を舞台に、警察内部の倫理的ジレンマを容赦なく抉り出す筆致にあります。単なる警察小説の枠を超え、法と正義、そして組織への忠誠心が激突する様は、読み手の道徳観を根底から揺さぶる圧倒的なリアリティを放っています。 弁護士資格を持つ新崎と、現場への未練を抱える加穂留。対極的な二人が組織の嘘に直面し、敗北の苦渋を味わう中で見出す真実とは何か。守るべきは組織の誇りか、それとも個人の真実か。タイトルに刻まれた傷の意味が明かされる瞬間、読者は守護者たちが背負う孤独な宿命に、激しく魂を揺さぶられるに違いありません。




