あらすじ
ISBN: 9784152102720ASIN: 4152102721
私立探偵の須賀は、学生時代の友人で現在はIT社長の春山から12年ぶりに連絡を受け、社内に出回る怪文書の調査を依頼される。春山の秘書やハッカーの友人の協力で犯人に罠を仕掛けるが、事態は思わぬ方向へ……著者のこだわりが詰まった正統派ハードボイルド
堂場瞬一氏が警察小説の旗手として培ってきた筆致が、正統派ハードボイルドの美学と鮮烈に融合した野心作です。本作の本質的な魅力は、単なる事件解決のプロセスではなく、十二年という歳月が変質させた友情の「現在地」を冷徹に描き出す文学的視座にあります。主人公・須賀が漂わせる孤独な矜持と、都会の喧騒の裏に潜む虚無感が、読者の胸を締め付けるような切なさを伴って迫ってきます。 デジタル化された現代社会の歪みを、泥臭いまでのアナログな執念で暴いていく対比構造が実に見事です。効率や利益が優先されるIT企業の光と影を背景に、あえて「遠回り」を厭わない須賀の生き様は、タイトルの通り長く険しい人生の道程そのものを象徴しています。裏切りと信頼が紙一重で交錯する結末まで、一瞬たりとも目が離せない、大人のための極上のエンターテインメントに仕上がっています。