あらすじ
ISBN: 9784167709037ASIN: 4167709031
三十五歳の脚本家、奈津は、才能に恵まれながら、田舎で同居する夫の抑圧に苦しんでいた。ある日、夫の創作への関与に耐えられなくなった奈津は、長く敬愛していた演出家・志澤の意見に従い、家を飛び出す決意をする。束縛から解き放たれた女性が、初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描く衝撃的な官能の物語。
村山由佳が描く本作は、抑圧を脱ぎ捨て自らの欲望に忠実であろうとする一人の女性の魂の叫びを、官能という鋭利な刃で抉り出した傑作です。自己を律する理性が崩壊し、剥き出しの生が目覚める瞬間を綴る耽美な筆致は、読者を奈津の彷徨へと深く引き込みます。 実写版では肉体の躍動が際立ちますが、原作ならではの心理描写の深みは、映像化作品をより重層的に味わうための最高の補助線となります。活字でしか表現し得ない静謐な狂気と、映像が放つ鮮烈な熱量の相乗効果は、真の自由とは何かを我々に突きつけるでしょう。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。