あらすじ
あなたがあなたであるためなら、
そこから逃げていいんだよ。
高校入試頻出作品!
親子で読みたい、感動の家族ドラマ。
【著者からのコメント】
「自分探し」の記憶はあまりありませんが、
「居場所探し」はつい最近まで
くり返してきた気がします。
心安らげる居場所がないのは不安なことです。
つい、間違ったものに
しがみつきたくなってしまう。
ここにいていいのだと信じられる場所、
ほんとうの自分を受け容れてもらえる場所さえ
見つかったなら、誰もがもっと生きやすくなるし、
自信を持てるし、
ひとに優しくなれるんじゃないか。
そうした場所を見つけようとして
今までいた場所に別れを告げるのは、
決して〈逃げ〉ではないんじゃないか──。
今作『雪のなまえ』は、
そんな思いをこめてつづりました。
時にすれ違っても、みんながお互いのことを
思い合う物語です。
若い人にも、かつて若かった人にも、ぜひ。
【あらすじ】
「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。
いじめにあい登校できなくなった
小学5年生の雪乃は、
父とともに曾祖父母が住む長野で暮らしを始め、
仕事を続けたい母は東京に残ることになった。
胸いっぱいに苦しさを抱えていても、
雪乃は思いを吐き出すことができない。
そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、
長野の大自然、地元の人々、
そして同級生大輝との出会いだったーー。
ほんとうの自分を受け容れてくれる場所。
そこを見つけるため、
今いる場所に別れを告げるのは、
決して逃げではない。
【目次】
プロローグ 夢と自由と
第一章新天地
第二章美しい眺め
第三章人間の学校
第四章名前
第五章サイダーの泡
第六章一人前の仕事
第七章寄り合いの夜
第八章訪問者
第九章起き上がり小法師
エピローグ 雪のなまえ
解説 永江朗
作品考察・見どころ
村山由佳氏が描くのは、単なる田舎への逃避行ではありません。それは「自分を守るための撤退」という、最も勇敢な決断を描いた魂の物語です。いじめという冷酷な現実に凍りついた少女の心が、信州の厳しくも清冽な自然の中でゆっくりと解けていく過程は、村山氏特有の精緻な心理描写によって、読者の胸に静かな熱を灯します。 本作の文学的な白眉は、学校や社会といった既存の枠組みに縛られず、真の居場所を模索する切実な祈りにあります。父と娘、それぞれの再出発が重なり合い、不器用ながらも慈しみ合う家族の姿は、閉塞感を抱える現代人への大いなる救いとなるはずです。ページをめくるたび、あなたの心にも温かな光が降り積もり、再び歩き出す勇気を与えてくれる珠玉の名作です。


