あらすじ
ISBN: 9784167906924ASIN: 4167906929
いったいどうすれば、あの男にこれ以上惹かれずにいられるのだろう
銀座の老舗真珠店に勤務する32歳の真奈。
女性上司に敵視されつつも仕事は充実し、私生活では年下の恋人と半同棲生活を送っていた。
ただ、出張先のタヒチで彼女を待っていたのは、元彼との再会だった──。
抑えようとしてもなお、2人の男の間で揺れる心。
生命力あふれるタヒチという土地の力が真奈をかえてゆくのか。
珠玉の恋愛長編を、ブルボンヌさんが解説。
心と軀(からだ)のリミッターが外れる……
村山由佳が描くのは、端正な日常の裏側に潜む「業」の深みです。銀座という規律ある場所で真珠を扱う主人公が、タヒチの原初的な生命力に触れ、理性という名の真珠の殻を脱ぎ捨てていく。その過程に宿る文学的エロスは、単なる色恋を超え、一人の女性が一個の「生」を取り戻すための聖なる儀式のようにすら感じられます。 揺れ動く二人の男の間で、主人公が直面するのは「自分自身が何を欲しているか」という根源的な問いです。緻密な心理描写と官能的な情景が溶け合い、読者の心と身体のリミッターをも鮮やかに解放してゆく。これは、ありふれた幸福に安住できない魂の渇望を、村山文学特有の流麗な筆致で描き切った、至高の恋愛長編といえるでしょう。