あらすじ
ISBN: 9784167918255ASIN: 4167918250
初恋の相手と結ばれ、レタス農家に嫁いだ舞桜子。夏の龍神まつりが近づくと毎年なぜか、夫と激しくもつれあう艶夢を見るのだったが、4歳の娘の世話と出荷作業に追われる今年、忌まわしい事実がー(「夜明け前」)。原始の炎に誘われるように、秘密は膨らみ、快楽は満ちてゆく。祭と性愛が6つの舞台で響き合う、禁断の作品集。
村山由佳が到達した、性愛文学の極致です。本作の根底に流れるのは、静謐な日常の下で脈打つ原始的な衝動と、祭事という非日常が呼び覚ます狂おしい情熱です。祭りの喧騒と肉体の疼きを重ね合わせる筆致はあまりに鮮烈で、読者の肌に夏の熱気と湿り気を感じさせるほどの圧倒的な描写力を誇っています。 理性の枠を超え、本能のままに快楽へ没入する女性たちの姿は、危うくも神聖な輝きを放ちます。日々の営みと禁断の悦楽が交錯する瞬間、読者は人間という存在の真の豊かさを目撃するはずです。理性で縛り切れない人間の業を、これほどまで美しく昇華させた物語は他にありません。