あらすじ
村山由佳と猫の物語はここから始まったーー
鴨川の「楽園」暮らしをつづった傑作エッセイ、
100倍深〜く読めるコメント入りのコンプリート版!
自然ゆたかな南房総の丘の上、手づくりのログハウス。
裏の畑で育てた無農薬野菜を食べ、ときには乗馬を楽しむ。
理想の田舎暮らしのなか、唯一の不満は「猫が飼えない」こと。
けれど迷い込んだチビ猫をきっかけに、ムラヤマ家の生活はあれよあれよと変わっていき、
気づけば猫、犬、馬、ウサギなどたくさんの「いのち」と暮らすことに……。
2002年に刊行され、読者から復刊を望む声が多数寄せられていたエッセイ集が待望の再登場です。
全編に書きおろしコメンタリーを加え、写真も一新。
人気猫〈もみじ〉のルーツとなる猫たちの逸話や〈もみじ〉誕生秘話、
著者自身による手書きコメントやカラー口絵もたっぷり収録しました。
既刊をご存知の方も楽しめる、贅沢な新装コンプリート版です。
【著者プロフィール】
村山由佳(むらやま・ゆか)
1964年東京都生まれ、軽井沢在住。立教大学卒業。
93年『天使の卵ーエンジェルス・エッグー』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。
09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞。
近著に『猫がいなけりゃ息もできない』『はつ恋』『まつらひ』『もみじの言いぶん』などがある。
作品考察・見どころ
村山由佳という作家の筆致には、生と死の境界線をなぞるような鋭くも温かい美学が宿っています。本書は、単なる田舎暮らしの記録ではありません。名作「もみじの言いぶん」へと繋がる、著者の魂が多くの「いのち」に侵食され、再生していく瑞々しい原風景が描かれています。小さな命に翻弄されながらも慈しみ、別れを惜しむ姿は、人間の業と愛おしさを見事に浮き彫りにしています。 さらに、本版の書き下ろしコメンタリーは、過去の自分を慈しむような深い眼差しに満ちています。時間が経ったからこそ語れる切実な言葉が、かつての文章に重層的な深みを与えています。これは猫好きのための本である以上に、不器用ながらも精一杯に生きようとするすべての人へ贈られた、至高の人間賛歌なのです。


