あらすじ
ISBN: 9784087485158ASIN: 4087485153
テレビに映し出された風景に僕は覚えがある。行ったことはないのに、確かにこの情景を僕は知っているー。高校2年生の矢崎武志に起こったのは既視体験デジャ・ヴ。彼は意識を失う度に、はるか昔、生まれる前の世界を体験する。その世界で彼は戦国の忍びの一族だった。前世で何があったのか、なぜ過去を追体験するのか。運命の人に再び出会うため、時空を超えて駆ける永遠の恋のリフレイン。
村山由佳氏の筆致が冴え渡る本作は、魂の通奏低音を鳴らすような壮大な遍歴の物語です。現代の高校生が抱く瑞々しい感性と、戦国を駆ける忍の過酷な宿命が交錯する構成は、読者の心に鮮烈なコントラストを刻みます。切ないまでの憧憬を「既視感」として描くことで、日常に潜む運命の予感を鮮やかに呼び覚ましてくれます。 特筆すべきは、理屈を超えた「一途な想い」が時空を歪ませるというロマンティックなテーマの深度です。過去を追体験することは、今の自分を肯定し未来を信じるための儀式に他なりません。読後、あなたは風景の端々にまだ見ぬ誰かへの懐かしさを覚えるはず。永遠の恋に焦がれる全ての人に捧げられた至高の抒情詩です。