あらすじ
ISBN: 9784167709013ASIN: 4167709015
禁断の恋に悩む兄妹、他人の恋人ばかりを好きになってしまう末妹、居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱えてーー。愛とは、家族とはなにか。別々に瞬きながらも見えない線で繋がる星座のように、家族は、「家」という舟に乗って無限の海を渡っていく。心震える感動の短篇連作小説集、第129回直木賞受賞作。
本作の真髄は、血縁という逃れられぬ呪縛を、峻烈かつ美しい叙情で描き切った筆致にあります。禁忌的な情愛を単なるスキャンダルではなく、孤独な魂が救いを求める切実な祈りとして昇華させる村山由佳の感性は圧巻です。個々の痛みは闇に浮かぶ星のように孤立しながらも、家族という一艘の舟の上で静かに共鳴し、読む者の胸を激しく揺さぶります。 戦後の影を背負う父から子らへと引き継がれる業と、それでも共に荒海を渡る家族の残酷なまでの愛おしさ。透明感溢れる文体の中に、血の匂いと体温が克明に息づいており、読後は自らの根源を問わずにはいられません。静謐ながらも凄まじい熱量を秘めた、魂を浄化する連作短篇の傑作です。