あらすじ
ISBN: 9784087454536ASIN: 4087454533
自分を愛せずにいる少女・茉莉と、心に癒えない傷を抱え続けてきた歩太。彼との出会いに、初めて心安らぐ居場所を手にした茉莉だったが……。ベストセラー「天使」シリーズ最終章!(解説/榎本正樹)
村山由佳が描くのは、剥き出しの孤独が触れ合い、火花を散らす瞬間の美しさです。本作は、自分という存在を肯定できない少女と、過去の傷に縛られた青年が、互いの痛みを分かち合うことで再生へと向かう究極の魂の救済劇といえます。著者の透徹した筆致は、心の奥底に沈殿する淀みを丁寧に浄化し、絶望の果てに差す微かな光を見事に掬い上げています。 シリーズ最終章として描かれる本作は、愛の甘美さよりも、他者と深く繋がることの畏怖や重みを厳かに問い直します。死を予感させるタイトルとは裏腹に、全編に生への熾烈な渇望が満ち溢れている点が文学的白眉です。二人の揺らぐ境界線が重なり合う瞬間、読者は理屈を超えた共鳴に震え、真の意味で人を愛する覚悟を突きつけられるはずです。