あらすじ
ISBN: 9784087463910ASIN: 4087463915
別視点で描く『天使の卵』シリーズ
私は、ちゃんと愛せていましたか? 姉と恋人を失った19歳の一途でピュアな恋。10年が経ち、新しい出会いが私の何かを少しずつ変えてゆく…。『ヘヴンリー・ブルー』メイキング・エッセイ付き。
村山由佳が描くのは、喪失の痛みさえも透明な美しさへと昇華させる魂の再生の物語です。本作の核は、名作「天使の卵」で起きた悲劇を残された者の視点から捉え直すという、残酷なまでの誠実さにあります。朝顔の青に託された切実な祈りと、著者の真骨頂である五感を震わせる抒情的な筆致が、読者の心に眠る忘れられない記憶を鮮烈に呼び覚まします。 凍てついた時間が動き出す瞬間の描写は圧巻です。過去の純愛に縛られながらも、新たな愛を受け入れていく過程には、文芸作品としての深い慈愛が満ちています。正しく愛せていたかという普遍的な問いに対し、本作は痛みを抱えながら生きる勇気という名の、最も美しい答えを提示してくれる珠玉の一冊といえるでしょう。