七月隆文
京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていてー。「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。
本作の真髄は、時間の不可逆性を利用した冷徹なまでに美しい構造美にあります。京都を舞台に、逆方向に流れる二人の時間が交差する刹那を、七月隆文は繊細な筆致で描き出しました。一見甘い恋物語の背後には、「今、この瞬間」を共有することの奇跡と、運命を受け入れる強さという普遍的なテーマが潜んでいます。 実写版では俳優の表情が切なさを加速させますが、原作の真価は再読時にこそ発揮されます。一文字ずつ伏線を回収し、彼女の涙の真意を脳内で補完する体験は、テキストならではの深み。映像の情感と小説の論理が響き合うことで、物語は一生ものの感動へと昇華されるのです。
七月 隆文 は日本の小説家、ライトノベル作家。大阪府出身。京都精華大学美術学部卒業。2015年、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』で第3回京都本大賞を受賞。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。