あらすじ
ISBN: 9784396333225ASIN: 4396333226
女吸血鬼探偵メグが引き受けたのはよくある妻の浮気調査のはずだった。監視を続ける家から人の気配が消えた。不審に思って駆けつけると、家にいるはずの妻はおらず、海外出張へ出たはずの夫の惨殺体が…。折しもクリスマスローズの花を死体のそばに撒く連続殺人が頻発。メグの発見した事件もとんでもない方向へ!二転三転、奇想天外の吸血鬼ミステリー。
柴田よしきが放つ本作は、吸血鬼という幻想的なモチーフをハードボイルドな探偵小説へと見事に昇華させた傑作です。女探偵メグの、人ならざる者ゆえの冷徹な観察眼と、時折覗かせる孤独な情熱が、物語に唯一無二の奥行きを与えています。美しさと残酷さが同居するクリスマスローズの象徴性が、読者を一気に非日常の深淵へと引きずり込むでしょう。 本作の本質は、凄惨な連続殺人事件の裏に潜む、人間の執念と愛執のグロテスクさを描き出した点にあります。吸血鬼という異形を通して逆説的に浮き彫りになるのは、命の尊厳とその脆さです。二転三転する巧妙なトリックを超えた先にある、凍てつくような冬の空気感と切なさは、ジャンル小説の枠を超えた文学的なカタルシスを私たちに突きつけてきます。