あらすじ
ISBN: 9784562037179ASIN: 4562037172
私立探偵メグが引き受けたのは、夫の出張中に妻が浮気をしてないか、という調査。まあ、よくあるタイプの仕事だった。これで年が越せる。ターゲットの家の向かいのマンションから監視を続けるメグ。だがいつまでたっても動きはなかった。灯りはついているのになぜか人のいる気配がない。おかしい。不審に思って駆けつけると、家にいたはずの妻はどこにもおらず、かわりに、海外へ出張に行ったはずの夫の惨殺死体が…。そしてさらに事件はとんでもない方向へと転がってゆく。軽ハードボイルド+コージー+本格推理。
柴田よしきが描く本作の真髄は、軽妙なコージーの衣を纏いつつ、その深層に鋭利なハードボイルドの魂を秘めている点にあります。探偵メグの視点を通じ、日常がふとした瞬間に冷徹な惨劇へと変貌する。この安らぎと恐怖が隣り合わせの独特な空気感こそが、読者を物語の深淵へと引きずり込む最大の魅力です。 緻密な本格推理のロジックを軸にしながら、物語を貫くのは、華やかな季節の裏に潜む人間の業と孤独という重層的なテーマです。謎解きの爽快感を超え、事件の背後に流れる切ない情念や女性の生き様を繊細に掬い上げた筆致は、読者の魂を激しく揺さぶり、忘れがたい余韻を残します。