あらすじ
ISBN: 9784758446198ASIN: 4758446199
政一が献立帖作りに取り掛かり始めた。おやすの絵も使われて、紅屋の記録になるという。
料理の道に邁進する日々。そうして正月も過ぎた折、お小夜から文が届く。
里帰りをするのだが、その時におやすと人知れずに会いたいという。
息子が病弱で苦労していると聞いていたおやすは不安を覚え……。
開国をしたことで外つ国の話題が多くなり、料理人として新しい料理がもたらされることに胸躍りながらも、戊午の大獄は世相に暗い影を落とし、次第におやすの運命にも関わるようになってくる。
待望のシリーズ第九弾!
柴田よしきが描く本作の真髄は、日常の献立と幕末の激動が交錯する鮮やかさにあります。献立帖を編む営みは、失われゆく日々の愛おしさを繋ぎ止める祈りのようです。新たな文化への高揚感と政治の暗雲。この光と影の対比が、料理小説の枠を超えた一級の歴史劇としての風格を与えています。 別れは単なる喪失ではなく、成熟への通過儀礼です。おやすが捉えるのは、変革の嵐の中でも変わらぬ真心が宿る料理の深淵。時代に翻弄されつつも己の道を切り拓く女性の矜持が、繊細な筆致で綴られます。読後、私たちの胸には切なさと共に、明日を生き抜くための力強い熱量が灯るはずです。