アミの会/大崎梢/近藤史恵/篠田真由美/柴田よしき/新津きよみ
祖母と一緒に行くはずだったお伊勢参り。急なトラブルでひとりでお参りすることになった元喜は、ある男の子と出会う(「もしも神様に会えたなら」)。幼い頃に引っ越し、生まれ故郷の記憶はまるでない。両親の思い出話を頼りに故郷をめぐる旅に出るが……(「失われた甘い時を求めて」)。心ときめく景色や極上グルメとの出会い。旅ならではの様々な「幸せ」がたっぷり詰まった7編を収録。読めば旅に出たくなる、実力派作家7名による文庫オリジナルアンソロジー第3弾!「もしも神様に会えたなら」大崎梢「失われた甘い時を求めて」新津きよみ「夕日と奥さんのお話」柴田よしき「夢よりも甘く」篠田真由美「旅の理由」松村比呂美「美味しいということは」三上延「オーロラが見られなくても」近藤史恵
本作は、実力派作家陣が旅と食という普遍的なテーマを通じ、人生の機微を鮮やかに切り取った珠玉の短編集です。単なるグルメの紹介に留まらず、見知らぬ土地で不意に訪れる内省や、忘れかけていた記憶との再会が、文学的な深みを持って描かれています。日常から切り離された旅先だからこそ剥き出しになる、登場人物たちの繊細な心の揺らぎに、私たちは強く共鳴せずにはいられません。 物語に宿るのは、五感を揺さぶる描写と、旅の終わりに微かな希望を見出す「心の再生」の軌跡です。食事が身体を満たすように、洗練された筆致が読者の魂を癒やしていきます。読み終えた瞬間、鞄を手に取り、自分自身のしあわせを探す旅へと踏み出したくなるような、情感豊かな魅力に満ちた一冊です。