あらすじ
ISBN: 9784396331658ASIN: 4396331657
東京・丸の内の片隅にある小料理屋「ばんざい屋」。女将の作るちょっぴり懐かしい味に誘われて、客たちが夜な夜な集まってくる。クリスマスの嫌いなOLの悩み、殺された常連客が心ひそかに抱いていた夢、古い指輪に隠された謎と殺意…。数々の人間模様をからめながら、自らも他人にいえない過去を持つ女将が鮮やかに解決する恋愛&ヒューマン・ミステリーの傑作。
柴田よしきという作家の真骨頂は、日常の何気ない風景に潜む心の機微を、鮮やかな色彩で描き出す筆致にあります。舞台となる小料理屋は、都会の孤独を抱える人々が足を止める聖域。供される料理の一皿一皿が凍てついた心を解きほぐす鍵となり、懐かしさの中に隠された再生への祈りが、読者の魂に深く染み渡ります。 物語に鋭い奥行きを与えるのは、女将自身が背負う過去の影です。ミステリーとしての謎解きは、犯人を追うためではなく、失われた誇りや秘めた想いを救い出すための儀式。痛みを受け入れ再び立ち上がろうとする人々の姿は、まさに雨上がりの虹のような希望に満ちており、読後の心には温かな余韻が広がることでしょう。