あらすじ
悲劇の幕開けを告げる
哀しいフルートの音色!
イッキ読み間違いなしのサスペンス完結篇!
この小説に登場する男女それぞれの人生がみな大きな曲がり角に来ていたり、
忘れたはずの過去に悩まされたりするのも、同時に日本という国自体も
また大きな曲がり角にあり、そんな時代の空気を作者が敏感にかぎとり、
登場人物たちに重ね合わせたのかもしれない。
ーー吉野仁(解説より)
失踪した中学時代の同級生・冬葉から、同じ班だったメンバーに次々と届くメール。
美弥、圭子、貴子、鯖島、東萩……三十五歳になった同級生たちは
それぞれ現実の闇と闘っていた。
離婚、リストラ、薬物依存、不倫……。
メールの謎を解く手がかりを求めて美弥は冬葉の母親を訪ねる。
そこで当時の担任・旭村が失踪していることを知る。
運命の激流に流されながら冬葉の失踪の真実に辿り着いたとき、
彼らの胸をよぎったものは?
ISBN: 9784198950743ASIN: 4198950741
作品考察・見どころ
柴田よしきが本作で描き出したのは、個人の運命と時代の閉塞感が交差する地点で足掻く、あまりにも切実な人間模様です。三十五歳という、若さへの決別と未来への諦念が入り混じる危うい年代の男女が、過去の亡霊に突き動かされ、崩壊していく日常を必死に繋ぎ止める姿は、ミステリーの枠組みを超えた凄絶な叙事詩の趣があります。 物語の核心にあるのは不在のヒロインを巡る謎ですが、読者が真に目撃するのは、彼女という鏡に照らし出された己の醜さや孤独です。人生の激流に抗い、泥沼の中に真実を見出そうとする魂の咆哮に、私たちは震えずにはいられません。救いと絶望が表裏一体となったこの傑作を、ぜひその血肉に刻んでください。