湊かなえが十周年の節目に放った、魂の救済を問う傑作です。「イヤミスの女王」が描くのは、出口のない絶望に差し込む、鋭くも切ない一筋の光。未来からの手紙という幻想的な装置を用い、児童虐待や貧困といった現代の闇を剥き出しにしながら、読者の倫理観を激しく揺さぶります。
本作の真髄は、誰かを救いたいという切実な願いが招く残酷な皮肉と、その深淵で足掻く子供たちの生への渇望にあります。加害者と被害者の境界が崩れ去る瞬間の凄絶な筆致は、言葉の力を信じる著者が到達した表現の極致。過酷な現実の先にある「未来」を信じたいすべての人に贈る、魂の鎮魂歌です。