あらすじ
第155回芥川賞受賞作!
36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
これまで彼氏なし。
オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、
変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、
清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、
毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、
完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、
私を世界の正常な「部品」にしてくれるーー。
ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は
「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。
現代の実存を問い、
正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。
ISBN: 9784163906188ASIN: 4163906185
作品考察・見どころ
村田沙耶香が描くのは、マニュアルの中でしか呼吸できない人間の、狂気とも純粋とも取れる聖域です。主人公がコンビニの歯車と同化していく様は、私たちが「普通」と信じる社会の歪みを鮮やかに暴き出します。無機質な文体が剥き出しの実存を突きつける比類なき筆致に、読者は激しく翻弄されるでしょう。 社会が強いる呪縛を、彼女は店員という役割で解体します。棚の秩序に救いを見出す姿は、現代における個の在り方を根底から問い直します。読後、日常の風景が変容し、あなたの倫理観すら揺さぶられるはず。これこそ現代文学が到達した一つの極致といえる、魂の衝撃作です。