あらすじ
2025年
第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
クロワッサン、フランスパン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパン…
焼きたてのパンの香りが広がる〈日常の謎〉ミステリー!
選考委員絶賛!
「全体を包む空気感が魅力的」--大森望(翻訳家・書評家)
「おいしそうなパンの魅力で読ませる」--香山二三郎(コラムニスト)
「読者のもてなし方を分かっている」--瀧井朝世(ライター)
「決め手は、この味わいの心地よさだ」--吉野仁(書評家)
(あらすじ)
大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でアルバイトをしていた。あるとき、同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして?
疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく……。パン屋を舞台とした〈日常の謎〉連作ミステリー!
ISBN: 9784299062642ASIN: 4299062647
作品考察・見どころ
本作の真髄は、五感を震わせるパンの香気と、人々の心の機微を編み上げた圧倒的な幸福感にあります。漫画家を目指す主人公・小春の観察眼を通して描かれるのは、焼きたてのパンが持つ温もりと、それを取り巻く人々の切実な想いです。選考委員が絶賛した「もてなしの心」が全編に溢れ、読み進めるほどに物語の芳醇な味わいが胸いっぱいに広がります。 日常の些細な違和感から真相を導き出す構成は、まさに至高の職人芸。親友の変節という小さな亀裂から、優しさと孤独が入り混じる人間の本質を照らし出す筆致は、鋭くも慈愛に満ちています。おいしそうな描写が読者の心を満たし、解き明かされる謎が魂を癒やす。これこそが、日常を愛おしく塗り替えてくれる極上の文芸体験と言えるでしょう。