あらすじ
ISBN: 9784488592035ASIN: 4488592031
良書倶楽部に、代替わりしたばかりのフェアファクス伯爵から蔵書設計の依頼が舞い込んだ。直接指名を受け、姪のメープルを連れて伯爵邸に赴いたニーダムは、依頼者がかつて自分が命を救った若き士官だと知る。髑髏城と呼ばれるダニューブ湖畔の古城に、夏至に間に合うようニーダムは瀕死の彼を大冒険の末に送り届けたのだ。本宅のみならず髑髏城用の選書を任されたニーダムたちは、訪れた豪壮な城館で、またもや怪異に遭遇する。三部作の第二作。
田中芳樹が紡ぐ本作の真髄は、知的な書誌学の愉悦と、背筋を凍らせるゴシック・ホラーが渾然一体となった比類なき耽美性にあります。古城を舞台にした「本」を巡る冒険は、単なる謎解きに留まらず、人間の理性が不可解な怪異に直面した際の揺らぎを鮮烈に描き出しています。 蔵書設計という静謐な営みが、血塗られた伝説と交差する瞬間のカタルシスは、活字への深い愛を持つ著者ならではの筆致です。死と生、理性と狂気の境界線上にある髑髏城で、ニーダムたちが手にする真実の重みに、読者は知的好奇心を激しく揺さぶられることでしょう。

田中 芳樹 は、日本の小説家。本名:田中 美樹。らいとすたっふに所属。代表作は『銀河英雄伝説』『創竜伝』『アルスラーン戦記』の三長編など。スペースオペラからファンタジー、現代を舞台とした小説、南北朝時代以降から南宋付近までの中国を舞台とした小説を発表している。