あらすじ
ISBN: 9784103567714ASIN: 4103567716
今まで生きてきて、初めて自分のことが好きになれそうな気がするーー。36歳、海外移住を決めた。子ども3人と犬を連れて、行先は最先端の流行と伝統が詰まった宝箱のような、大好きな街パリ。でも、到着して気が緩んだその日から、私はポンコツになったーー。子どもたちの自転車の特訓、LAへ飛んでアカデミー賞授賞式に参加、愛犬の看取り、この先叶えたいこと。9年ぶり、待望のエッセイ集。
本書は、俳優・杏が異国の地で鎧を脱ぎ捨て、剥き出しの自己と対峙する魂の記録です。華やかなスターでありながら、不器用な自分を「ポンコツ」と自嘲する潔さが読む者の心を深く震わせます。最先端の街で母として、表現者として再生していく過程は、単なる移住記を超えた静かな自己肯定の文学と言えるでしょう。 行間に滲むのは、愛犬との別れや子育てといった研ぎ澄まされた生の手触りです。洗練された感性と泥臭い生活感が同居する彼女の文体は、完璧さを求める現代社会への鮮やかな抵抗となり、不完全な自分を愛する勇気を与えてくれます。パリの風を感じながら、自らの人生を慈しむ契機をくれる珠玉の一冊です。
