田中芳樹氏の壮大な歴史眼と、藤崎竜氏の尖った感性が融合した本作は、単なるSF戦記の枠を超えた美しき生存のドラマです。第六次イゼルローン攻防戦のクライマックスで描かれるのは、組織の不条理に抗い、死地を自らの意志で切り拓く個人の煌めき。権力者の冷徹な合理性と、ラインハルトが放つ野心的な情熱の対比が、読者の魂を激しく揺さぶります。
アニメ版が緻密な艦隊戦やリアリズムを追求する一方で、この藤崎版はコミックならではの誇張された演出と躍動感で、キャラクターの精神性を鮮烈に描き出しています。静の映像に対し、動の漫画。テキストの重厚さを凄まじい視覚的熱量へと昇華させた本作は、映像と原作を往来することで、銀河という舞台の多層的な面白さを再発見させてくれるはずです。