あらすじ
ISBN: 9784488592028ASIN: 4488592023
19世紀ヴィクトリア朝の英国。スコットランド近くの月蝕島沖で氷山に閉じ込められた謎の帆船が発見されたというニュースが世間をにぎわせている。一方、クリミア戦争から生還したニーダム青年は、姪と共に大手の会員制貸本屋に就職し、超マイペースな二大文豪アンデルセンとディケンズの世話をする日々。ある日、ジャーナリズム精神あふれるディケンズが、月蝕島へ行くと言いだした。一行は不吉な噂に満ちた島へ。ヴィクトリア朝怪奇冒険譚三部作開幕!
田中芳樹氏の真骨頂は、史実を怪奇幻想へと昇華させる鮮やかな手腕にあります。実在の文豪アンデルセンとディケンズを配した本作は、単なる冒険譚を超え、理性が支配するヴィクトリア朝の裏に潜む言語化できない恐怖を抉り出しています。知性とユーモアが交錯する対話劇は、読者を一瞬で十九世紀の濃密な霧の中へと誘うでしょう。 帝国の黄金期と、その足元に広がる昏い深淵。この鮮烈な対比が知的好奇心を激しく揺さぶります。文明の光が届かぬ孤島で文豪たちは何を目撃するのか。著者の博覧強記が紡ぐ重厚な文体は、不穏な潮騒を響かせ、五感を刺激する至高の知的興奮を約束してくれます。

田中 芳樹 は、日本の小説家。本名:田中 美樹。らいとすたっふに所属。代表作は『銀河英雄伝説』『創竜伝』『アルスラーン戦記』の三長編など。スペースオペラからファンタジー、現代を舞台とした小説、南北朝時代以降から南宋付近までの中国を舞台とした小説を発表している。