藤崎竜版『銀河英雄伝説』は、田中芳樹の叙事詩に「狂気」と「美」という新たな命を吹き込んだ再構築の傑作です。第28巻の回廊の戦いは、二人の天才の知略がぶつかり合う極限状態の中で、権力の頂に立つラインハルトが抱く深い孤独と、亡き友への思慕という内面的なドラマを鮮烈に描き出しています。
映像化作品が壮大な音楽と動きで宇宙の広がりを見せる一方で、本作は漫画ならではの誇張された造形と大胆な構図により、文字だけでは捉えきれないキャラクターの「情念」を浮き彫りにします。原典の格調高さを保ちつつ、映像版にはない鮮烈なビジュアル表現が読者の想像力を刺激し、文字と映像、それぞれの良さを相互に深め合う至高の体験を約束してくれるでしょう。